Jun 14th 2021
追跡型広告制限「Limit Ad Tracking(LAT)」とは?モバイルマーケティングへの影響は?
Appleの Limit Ad Tracking の施行は、iOSの仕組みを運用するすべてのデベロッパーとパブリッシャーに影響を与えます。現代的思考の断片に目をやると、新しいターミノロジーや全般的な懸念は理解できますが、全体像はまだ見えてきません。
その中心にあるのはプライバシーです。iOS のLATは、自分のデータに誰がアクセスし、何をすることを許可するかを消費者自身がコントロールします。
今回の記事で、このようなシンプルな仕組みが業界全体に衝撃を与えるほどの影響力を持つ理由についてご説明します。まずLATをご理解いただくには、広告主識別子またはIDFAとの関係について最初に知っておく必要があります。
IDFAとは?
Identifier for Advertisers(IDFA)はAppleがスマートフォンなどの特定のデバイスにランダムに割り当てる一意の文字列で、広告のターゲティングにベネフィットをもたらします。広告主はIDFAを使って、ユーザーが iOSデバイスで何をしているかをトラッキングします。収集されるデータには、デバイスに関するコンテキスト情報のほか、ユーザーお気に入りのアプリに関する行動データ、広告やアプリ内購入を実施する頻度などが含まれます。IDFAを利用すると、ユーザーのオンラインブラウジングの習慣、商品をショッピングカートに置く頻度、アプリ内購入する前にゲームをプレイした時間、または特定のアプリを開いてから経過する時間など、あらゆるインサイトが手に入ります。
こういった情報を利用することで、広告主はユーザーの行動に合わせた広告を出しターゲットを絞ることができます。ゲームをしなくなったプレイヤーに「会いたい!」といったメッセージでゲームに戻ってくるよう仕掛ける広告を表示したり、近くの靴屋を探しているユーザーには Zapposの広告が表示されるかもしれません。また、IDFAはユーザー獲得の重要な要素であるアトリビューションにも使用されます。
追跡型広告制限「Limit Ad Tracking(LAT)」について
Limit Ad Tracking(LAT)は、ユーザーがIDFAをオプトアウトできるようにする iOSの機能で、広告主がデバイスから収集できる情報の量を大幅に減らします。LATを切り替えると、IDFAに使用されるデバイス固有の数字と文字の文字列がゼロになり、匿名になります。LATは広告ブロッカーではありませんが、ユーザーの行動に基づいてターゲッティングした広告を出せなくなくなります。それでもなお、アドテック企業は一部のデータを収集することはできますが、デバイスのOS、アプリのバージョン、App Storeのサブカテゴリーなどのコンテキストデータに範囲は限られてしまいます。
利口なディベロッパーなら、アプリの機能の一部をトラッキング許可を聞くプロンプトの後ろに表示することを思いつくかもしれないですが、AppleのApp Store登録をする際に禁止されています。同様に、非IDFAのトラッカーを使用してユーザーを識別したり、ユーザーのネットワーク接続などのデバイス固有の情報を使用したりすることもできません。Appleのガイドラインはとても明確で、ユーザーの同意がAppTrackingTransparency(ATT)フレームワークを通して得られない限り、データにアクセスすることはできません。とはいえ、ディベロッパー自身のウェブサイトなど、他の方法であればデータを取得することが許可されており、LATとAppleの制限は、アプリ自体を介したやりとりにのみ適用されます。
こちらもご参照ください:アプリのトラッキング申告「ATT」とは?モバイルマーケティングへの影響は?
なお、LATはApple独自のターゲット広告からユーザーを完全に排除するものではありません。Appleは、ユーザーの性別、年齢、デバイス上にあるコンテンツの種類など個人別の詳細に基づいてユーザーをセグメント化し、それらのセグメントをAppleの広告エコシステム(Apple Search Ads や Apple News等 Appleが所有するメディア製品を介して配信されるものを含む)のターゲット広告に利用することができます。Appleは、「ユーザーに関する情報は、ユーザーがどのセグメントに該当するか、つまりどの広告を配信するかを判断するために使用されます。プライバシー保護のため、ターゲット広告は、そのターゲット基準に満たしたユーザー数が5000を超えたときのみ配信されます。」と述べています。Appleの「Personalized Ads」からオプトアウトするには、特殊なプロセスが必要になり、iOSとMacOS デバイスの設定メニューから切り替えることができます。
AndroidにはLAT機能はありますか?
AndroidにもLATと実質同様の目的を持つ方法があり、ユーザーが広告のパーソナライゼーションをオプトアウトすることができます。本記事の執筆時点では、GoogleはAppleのようにプライバシー保護を強制していないものの、2021年後半には、Androidの広告IDをゼロ化することが見えており、ユーザーはAppleのLATのように広告のトラッキングとパーソナライゼーションをオプトアウトするようになります。現在、Androidユーザーがオプトアウトする割合は、 iOSユーザーと比較してはるかに低いことがわかっています。世界的にはAndroidユーザー対Appleユーザーの全世界での割合は2対1より多いことがわかっていることからも、グローバルスケールで活動するモバイルマーケターにとって、これはうれしい要素になると言えます。しかし、米国では数値が逆転し、AndroidよりiOSが圧倒的に多く使われています。
なぜこれが重要なのでしょうか?
iOS 10より前のバージョンでは、ユーザーが LATを有効にしない限り、デバイスはIDFAデータを収集していました。iOS 14の大きな変更点は、ユーザーがオプトアウトするのではなく、アプリごとにIDFAにオプトインしなければならないことです。これは、世界がデジタルプライバシーをより重視する傾向の現れであり、「プライバシーバイデザイン」と呼ばれる設計思想に準拠しています。
新しいモバイルマーケティングの時代では、ユーザーの情報はもはやデフォルトで収集されず、ユーザーの意思により提供される必要があります。さらに、iOS 14では、Appleはディベロッパーに対し IDFA経由で収集した情報の使用方法を開示することを要求し、App Storeのアプリページにその情報が記載されることになります。
LATの課題を乗り越えるためにVungleができること
LATの明らかな欠点は、コンテキストターゲティングに多額の投資をしない限り、従来のモバイル広告プラットフォームの多くが暗中模索に陥ってしまうことです。IDFAは、興味を持ちやすい消費者に、最も高いパフォーマンスが期待できる配置へ広告を配信することを可能にしました。IDFAがない世界では、このレベルの行動ターゲティングが不可能になり、広告主はコンテキストターゲティングの基準に依存せざるを得なくなります。
VungleはGameRefinery の詳細なコンテキストデータと AlgoLift のパワフルな予測インテリジェンスを得て、モバイルパフォーマンスのマーケティングプラットフォームを強化し、iOS 14後の広告パフォーマンスの提供が可能になったことで、ほかの主要なモバイル・アドネットワークの実力を超えた独自のポジションを確立しています。
Vungleの広告主は、他では得られない高度に特定されたマーケティングシグナルのセットを活用し、その情報を使って将来の価値を予測し、ユーザー獲得のキャンペーンを最適化しています。広告インテリジェンスと自動入札管理のユニークな組み合わせにより、モバイルマーケティングのATT時代に突入した今、Vungleは成長戦略におけるベストパートナーとなります。
より詳細な情報をご希望の場合は、japan@vungle.com へご連絡ください。