Jun 13th 2021
アプリのトラッキング申告「ATT」とは?モバイルマーケティングへの影響は?
Appleがユーザープライバシーをさらに重要視するようになったことで、広告主がモバイルデバイス上で情報を収集する方法に新たなパラダイムが生まれました。Limit Ad Tracking(LAT:追跡型広告制限)が消費者側からのプライバシーを扱うのに対し、AppTrackingTransparency(ATT:アプリのトラッキング申告)フレームワークはパブリッシャーおよび広告主側からのプライバシーを扱います。この「ATT」とは何か、そしてそれがモバイルマーケティングにとって何を意味するのかを正しくに知るために、是非お読みください。
Limit Ad Tracking(LAT:追跡型広告制限)とは
Limit Ad Tracking(LAT:追跡型広告制限)とはiOSの機能で、ユーザーは自分のID(IDFA)を広告主が追跡することをオプトアウトでき、広告主がユーザーデバイスから収集できる情報の量を減らすことができます。LATはiOS 10から搭載されていましたが、iOS 14.5ではデフォルトで有効になるため、ユーザーはアプリごとにIDFAトラッキングをオプトインする必要があります。
AppTrackingTransparency(ATT:アプリのトラッキング申告)とは
AppTrackingTransparencyフレームワーク(ATT)は、ユーザーがアプリにトラッキングを要求することを許可したときに機能します。Appleが指す「トラッキング」とは、「アプリから収集したユーザーまたはデバイスのデータを、他の会社のアプリ、ウェブサイト、またはオフラインプロパティから収集したユーザーまたはデバイスのデータとリンクして、ターゲットを絞った広告または広告測定を行う行為。追跡とは、ユーザーまたはデバイスのデータをデータブローカーと共有することも指す。」と定義してします。注意すべき重要な点は、データブローカーと協力して詐欺の検出や防止を行うことは、追跡とみなされないということです
アプリからデータを収集はできますが、ユーザーがそれを許可し、そのデータがどのように使われるかを理解したことが前提になります。ATTのプロンプトはアプリ体験のどの時点で表示してもよく、コンテキストやそのデータが必要な理由、データの使用方法を規定することができます。ユーザーがアプリのプライバシー設定を変更したり、デバイス自体の設定メニューにショートカットを作ることもできます。できないことは、ゲーム内通貨、ロックされたコンテンツ、または促すような表現によりユーザーにモチベーションを与え、オプトインさせることです。また、IDFA以外の追跡方法を使用して回避することもルール違反になりますので、避けるべきです。
Appストア リスティングについて
Appleはすべての開発者がATTで共通言語を使用するため、ユーザーデータに関する用語を成文化し、データを「Financial」「Sensitive」「Usage」などのカテゴリに分類。同じように、それぞれの種類のデータ利用を構成するものを詳細に説明していることで、アナリティクス、プロダクトパーソナライゼーション、そして当然ながらサードパーティ広告のような作動を可能にしています。
ディベロッパーの視点では、Appストアに掲載される資格を得るためにはアプリのプライバシー慣行を開示する必要が出てきますが、リスティングにはその情報の一部または全て表示されることになります。これには、SDKなどアプリに含まれるサードパーティのコードも含まれます。
これらの要件は iOS 14 がローンチしたときから適用され得る変更でもありましたが、Appleはディベロッパーにアプリをアップデートする時間が必要と考え、ATTの期限を延期。1月28日(データプライバシーの日)、AppleはATTを「早春」 に開始すると発表しました。同日、「A Day in the Life of Your Data」 というレポートをリリースし、アプリがデータをトラッキングする方法と理由、そしてATTが目的としていることを消費者に公開しました。そして2021年4月26日、iOS 14.5でATTの完全施行となりました。
今、なぜATTが重要なのか?
ATT は、アプリがユーザーの同意なしにデータを収集することを防ぐために設計されています。ユーザー自身が意図したとおりに情報は利用されるべきであり、これはパーソナルプライバシーにとっての恩恵となり、コンテキストターゲティングの体制を充分に構築していないアドネットワークにとってはチャレンジになります。
Facebook Audience Networkを例に考えてみましょう。Facebookは自社ブランド(InstagramやWhatsApp)から大量の個人データを収集し、広告主に提供しています。これらの広告主は、その詳細な情報を利用して、最もクリックしそうなユーザーに向けて広告をターゲティングすることができます。そこで誰かがある日、Brooklinenでベッドシーツをネットで見ていると、次の瞬間、Purple Mattressの広告が出るかもしれません。AppleがATTに切り替えると、Facebookは追跡されていない iOSデバイスで収集されたデータを、自社のエコシステム内で観察できる範囲を超えて利用することができなくなります。
ATTはアドネットワークの広告配信をストップするわけではありませんが、ATTとLATのダブルパンチで広告主は、アドネットワークでキャンペーンをターゲッティングしパーソナライズすることが一層難しくなります。ユーザーの行動における何らかの情報は得られても、これまで何年にもわたって利用してきたものほど価値のあるものにはなりません。
Android版のATTは出てくるのか?
ATTは iOSの機能のためAndroid自体にはありませんが、Androidのオペレーティングシステムを経由してサードパーティーが収集した情報を広告主が利用することはできません。この記事を書いている時点で、GoogleはATTに似たプライバシー機能を検討していると報じられていますが、その制限はATTほどではありません。Googleは、デジタルプライバシーに対して高まってきている世の中の期待へ応じることと、自社の利益を求めることとのバランスを見出すというチャレンジに面しています。Googleは「Google Ads」プラットフォームを通じて約1460億ドルを売り上げており、この総額はATTの影響を受けることがほぼ確実となっています。
Vungleができること
VungleはGameRefinery の詳細なコンテキストデータと AlgoLift のパワフルな予測インテリジェンスを得て、モバイルパフォーマンスのマーケティングプラットフォームを強化し、iOS 14後の広告パフォーマンスの提供が可能になったことで、ほかの主要なモバイル・アドネットワークの実力を超えた独自のポジションを確立しています。
Vungleの広告主は、他では得られない高度に特定されたマーケティングシグナルのセットを活用し、その情報を使って将来の価値を予測し、ユーザー獲得のキャンペーンを最適化しています。広告インテリジェンスと自動入札管理のユニークな組み合わせにより、モバイルマーケティングのATT時代に突入した今、Vungleは成長戦略におけるベストパートナーとなります。
より詳細な情報をご希望の場合は、japan@vungle.com へご連絡ください。