Mar 11th 2021
CHINA GAME 2020 一年を振り返って
2020-2021年 世界のゲーム
混迷した経済環境で幕を閉じた2020年。コロナの大流行が世界的に深刻になったこの年、ゲーム業界の勢いはピークに達しました。オンラインエンターテイメント、SNSは私たちの生活にとって、もはや欠かせないものとなり、アクティブユーザー数、アプリ内滞在時間、またはアプリ内課金金額はかつてないレベルに達し、非常事態時において重要な役割を果たしました。本レポートでは、2020年の中国におけるトップゲームとカテゴリーを振り返り、海外市場のトレンドをより深く理解するためのヒントをご紹介します。
市場のトレンドとしては、中国のアプリ開発者の多くは、収益モデルをアプリ内課金(IAP)単体から、IAPとアプリ内広告(IAA)の組み合わせへと移行しました。業界最前線のゲーム開発者は、アプリ収益における IAAの割合を増加させています。収益化のトレンドとしては、リワード広告が業界標準となり、同時に最適化されたインタースティシャル広告は業界のパイオニアたちに選ばれています。これが収益とリテンションの間における最大のメリットとなり、ネイティブ広告はカジュアルとハイパーカジュアルゲームの大切な収益源です。
2020年はゲーム業界に予想外の変化がたくさん起こった年でもありました。次のチャートで2020年の中国におけるトップ20のゲーム会社について、グローバルでのダウンロード数及び売上を見てみましょう。コロナ禍の状況で、子供向けのワード、パズル、生活娯楽をテーマとしたハイパーカジュアルゲームのダウンロードが急増しました。無料で遊べるそれらのゲームは暇つぶしとして人気があり、アプリ数も大幅に増加しています。加えて、ハイブリッド・シミュレーションでは、Idle、今まで以上にIAPに特化した放置ゲームに対して関心が高まりました。例えば、miHoYo(米哈游)社は2020年11月単月だけで7億元もの収益をあげ、アメリカ、日本、韓国市場への急速な展開に成功しました。
プロダクト抜きにマーケットを語ることはできません。ここからは、2020年の各四半期毎に、リリースされた個々のゲームアプリに焦点をあて、それぞれのスタイルや特徴を見てみましょう。
2020年のゲーム収益化 振り返り
Chapter 春
春にデビューした放置系RPG
「AFK アリーナ」は2020年に始まり、年の終わりにはアニメ映画並みの品質で新しいバージョンの予告編で再び焦点が当てられ、ファンを魅惑。放置系RPGの中でも「SRPG(シミュレーション・ロールプレイング・ゲーム」と呼ばれるものは、この放置系ゲームのカテゴリでにおいては比較的新しく、「The Marvelous Snails(最強蝸牛)」や「江南百景図」などがヒットしました。
2020年、Coconut Island Gamesがリリースした「江南百景図」はゲームの質とパフォーマンスの高さ両面で大成功を収めました。ストーリーラインを開発するデザインが合理的になっており、ユーザーが広告を見つけることによりボーナスを与え、ユーザーがレベルアップする体験を最適化し、収益化とリテンションにおいてのバランスをうまく安定させています。Vungleは、この江南百景図で収益化の初期の取り組み段階で、高いeCPM価格でかなりの割合を占め、長期的に安定したパフォーマンスをディベロッパーにもたらしました。海外のトラフィックに加え、Vungleは中国のiOSに焦点をあて、フルスクリーン動画広告の安定したパフォーマンスの基盤で広告フォーマットを徐々に充実させてきました。2021年、Vungleはより多くの中国のディベロッパーの収益化を支え、また、広告収益化を開始するために、より多くの中・重度のゲームをサポートし、皆様とともにより先駆的な業界の発展を切り開いて行きます。
Chapter 夏
夏はハイクオリティなカジュアルゲームが続々登場
HIGGS Studioの夏と言えるほど、海外のゲームデータが目を引きました。2020年8月、海外市場でダウンロードされた中国発のモバイルゲームTOP 30に登場したHIGGS Studioの「Tile Master」は、その月にダウンロードされた第1位のゲーム「PUBG Mobile」に続いて第2位にランクインしました。
革新的なパズルゲームとして称される「Tile Master」は、リワード広告とインタースティシャル広告を組み合わせてトラフィック構成を最適化しました。インタースティシャル広告は一定のレベル終了時にポップアップ表示され、リワード広告はトップページにある宝箱、レベル失敗後の再開時、または合間に現れる宝箱から表示されます。HIGGS Studioの主要な収益化パートナーとして、Vungleはインタースティシャル広告とリワード広告の最優先レベルのものを安定かつ十分に埋めることができます。通常、Vungleは全体的なウォーターフォールフローの上位レベルでより高いパフォーマンスを発揮するため、ディベロッパーにはゲームのローンチ時、対応のプレースメントでeCPM価格を設定することをお勧めしています。これにより、後の最適化で迅速に収益を増やすことができます。
「Tile Masterを開発した背景は3つあります。一つは、マッチ3ゲームが長くヒットしていること、このカテゴリで巨大なユーザー数を誇ること、そして特定地域の市場にとどまらずグローバルに親しまれていることです。開発の方向性を決定したあと、我々チームは早速先を行くゲームとのギャップを埋めるべく、ゲームプレイとスタイルの差別化を図るため取り組み始めました。次に、収益化をメインに、そしてアプリ内購入をその次に重要なフォーカスとし、プロダクトのビジネスモデルを確立しました。」 – Guo Bin, HIGGS StudioのCEO
適切な市場を見つけ、高いインタラクション性を持ち、高い品質のゲームコンテンツを強化することは、カジュアルゲームの生き残りに不可欠です。さらに2020年もさらなる投資資金の流入により競争は激しさを増すでしょう。
2020年のカジュアルゲームでグローバルに行われたダウンロードを分析すると、最大9億ものダウンロードが年間行われており、この需要が巨大な市場でプロダクトはアップデートや新バージョンの作成を加速させます。開発コストが低くても、同様に利益が変動するハイパーカジュアルゲームは、もはや収益化の点で最も魅力的なゲームカテゴリとは言えなくなるかもしれません。
Vungleが最も長い期間提携してきたパートナーの1社である PoseidonGamesの「Bricks Ball Crusher」は、伝統的なブロック崩しゲームで、特にインタースティシャル広告にしっかりとした中・上位レベルのコンテンツを提供しています。
収益の最適化という側面では、eCPMや収益の改善にフォーカスするだけでなく、ディベロッパーとともに日々やり取りし、広告プレースメントのデザインや最適化の提案まで踏み込んでいくことも当社のサービスに含まれます。「Bricks Ball Crusher」においても、適切なタイミングでポップアップを表示したり、ユーザーのクリックページの目立つ位置にリワード広告を入れるなど、リテンションと収益の良いバランスを確立しました。
Chapter 秋
秋には「Slots Social Casino」がリニューアル
「ゲーム業界の招き猫」として呼ばれるカジノゲームは常時安定したポジションを確立し、業界の成長と資本参加に伴い、近年、ギャンブルゲームを制作している国内のモバイルゲームディベロッパーの数はほぼ数百と急増しました。しかしながら、容易に参入できても生き残ることが難しくなりました。ゲーム業界ではカテゴリが増えれば増えるほど、より多くのイノベーションが求められるようになります。ギャンブル系モバイルゲームでは、どのような方法でシーンを復元するのかといったことや、新しいトレンドやゲームプレイについてしっかり把握することがとくに重要になります。ギャンブルゲームのユーザは比較的年齢層が高く、若者にギャンブル好きが多くない傾向のなか、時間とともにリテンションは低下していきます。しかしながら、ここ数年のARPUDAUのデータはユーザー数が年々増加していることを示しており、これがより多くのディベロッパーが積極的に参入する理由であると考えられます。
20-80の法則に当てはめると、カジノモバイルゲームでは、課金ユーザーだけでなく、上位20%の主要なプレイヤーが80%の無課金ユーザーをリードしています。収益化アップという視点では、IAPとIAAの比率が1:9から2:8へ変化しています。特に、若い世代をターゲットにするソーシャルカジノのカテゴリーでは、広告を加えることで持続的に収入を増やせるようになります。
Vungleは動画広告の収益化を開始して以来、国内外のカジノ系アプリケーション開発者と密接な協力関係を築いてきました。「広告収益化を始めるかどうか」から「すべてのユーザーに広告を表示するかどうか」、さらには「ポップアップ頻度を最適化するための適切なインタースティシャル広告の使用方法」まで、ギャンブルモバイルゲームの収益化に対する接し方がよりオープンになり、業界全体が徐々に自信づいてきました。このようにカジノゲームは一般に、「高いeCPMユーザー価格と長いライフサイクル」が特徴で、eCPMは100ドル以上となります。
SpinX Gamesが制作した定番のスロットゲーム「Cash Frenzy-Slots Casino」は、インタースティシャルとリワード広告を設定しています。Vungleは収益データを最適化し、トップレベルで80~100ドル以上の範囲でうまく広告枠を埋めることができました。このゲームの IAPデータは非常に安定しており、IAAはデータを最適化することで、Vungleが長期にわたって蓄積してきた質の高いゲームユーザーがカジノやスロット系カテゴリーで高い適合性を持つことを示し、インプレッションやコンバージョンの割合でもプラットフォームごとで高いパフォーマンスが目立っています。
Chapter 冬
そして冬、「Genshin Impact」がついにやって来た!
2020年の第四半期には、ゲームの新たな活力が急速にスピードダウンするという予測があります。そんな中、上海のmiHoYoがプロデュースした「Genshin Impact(原神)」や Magic Tavern の「プロジェクト・メイクオーバー」は、ダウンロード数や収入、話題性でこの冬の伝説的な存在となりました。
Appleが年末に発表した2020年の「ゲーム・オブ・ザ・イヤー」では「Genshin Impact」が選ばれ、「『原神』によって描かれた巨大で空想的な世界は、ユーザーがあこがれていたファンタジーの世界を生き生きと再現している。」と称されています。またそれだけでなく、蘇州の庭園、江南の水の街、中国の拼音(ピンイン)など、中国の要素が表現されており、海外のユーザーからの評価も高いものとなりました。
「Project MakerOver」は、11月にリリースされた3マッチ+シミュレーションゲームとして主力のプロダクトです。コロナ禍におけるライフスタイルの変化が影響し、人々はこれまでと同じように外出を控えなければならず、多くの時間を家で過ごさなければならなりません。このゲームの経験は、このような状況において心理的なニーズを補っています。
「Truck ‘Em All」は、次のレベルに商品を配送するトラックドライバーとしてプレイする運転シミュレーションゲームです。燃料の消費速度のコントロール、さまざまな地形の横断、かつ安全な商品の配送に配慮して最終目的に到達するゲームで、ローンチした月のダウンロード数は、トップ20に入りました。
しかしながら、ゲーム全体のリリースデータでは前期と比較し大きな変化はありませんでした。中・小規模のディベロッパーは、年末に来年のゲームトレンドを待っており、予算は通常年末に厳しくなることが、新規プロダクトに影響したのかもしれません。ゲームの収益化に関しては、年末のホリデーシーズンのトラフィックが最も顕著に現れるアメリカとヨーロッパで、2020年のクリスマスと新年には、Appストアの支出がアメリカでは前年比で38.7%、ヨーロッパでは29.4%増加しました。
2020年の話題として注視すべきカテゴリはもう一つ、お小遣い稼ぎアプリです。この特性により、ディベロッパーは毎月新しいものを生み出しています。お小遣い稼ぎアプリは、独自のトピックと「ホットサーチ」キャラクターがあります。一部の大手ディベロッパーは控えめでも迅速な収益実績を狙い、これが中小規模のディベロッパーが追随したいと思う要素になっています。Vungleは2020年にこのカテゴリーにおける収益化で新たなブレークスルーを成し遂げました。ヨーロッパとアメリカでの安定したトラフィック増加に加え、その他の国々、とくにブラジルとメキシコも利用が急激に増加しています。「Lucky Pusher Big Win Rewards」、「Coin Pusher」、「Dropping Ball」、「Merge Number」などのゲームではインタースティシャル、リワード、ネイティブ広告のプレースメントで高いeCPMパフォーマンスを出すことができました。Vungleは来年さらに多くのディベロッパーと共に取り組むことを楽しみにしています。
2020年はすでに歴史的な年となり、Covid-19によってもたらされた劇的な変化により、業界の「これまでの経験」や「これまでのやり方」が通用しなくなっています。かつてユーザー獲得で魅力的なカテゴリにあり高リターンであったプロジェクトは創造性とゲームプレイの障壁を突破することが難しくなってきており、ユーザーの獲得もリテンションも共に落ち込んでいます。プロダクトの数を多くすればするほど、「創造性」と「コンテンツ品質」の両立がより重要になり、これが生き残るための唯一の道となりました。大手はすべてのサブカテゴリーを把握することができず、中小のディベロッパーはユーザー獲得やプロモーションに大きな費用をかけることができません。これらに対する解が市場にまだ存在しないなかで2021年を迎えることになりますが、これは業界の先行きが明るく、共存する問題へも新たに取り組めることとして期待したいと思います。2021年のゲーム産業の発展、モバイルゲーム市場の成長、国内アプリの海外ヒットを今後も一緒に見て行きましょう。
今回ご紹介した上記のアプリは、すでにVungleと広告や収益化の面で提携しているものです。国内や海外への展開に問わず、私たちはより多くのディベロッパーが成功するためサポートさせていただけることを楽しみにしています。